離職率が高い事で知られている介護業界では、仕事を辞めたいと思ってもなかなか素直に受け入れてもらえる事が少ないようです。本当に理由があって辞めたいと思っても、戦力になっているベテランの介護士ほど引き止めにあい、なかなか簡単には辞めさせてもらえないようです。なぜそのような事が起こるのかというと、介護業界の管理職はすでに引き止めるための言葉のノウハウを持っているからなのです。これは管理職になっている人の責任ではなく施設全体、もっといえば業界全体が苦境を乗り越えるために編み出したセオリーのようなものです。すんなり辞めさせてもらえないという事を理解しつつ、それでも円満に退社ができる方法を探っていきましょう。
ある程度経験があり職場で重要な役割にある介護士が辞めようとする時に使う引き止めの決まり文句があります。それは「あなたには期待している」「今後リーダーを任せたいと思っている」「あなたがこの施設には必要なんだ」という言葉です。確かにこれらの言葉には半分は本音も混ざっていると思います。そのためにこれらの言葉を聞くと気持ちが揺らいでしまうのも無理はありません。
しかしこの職場を辞めたいと思ったのには理由があるはずです。本当に期待されていて、リーダー候補として扱われていたのかどうか、冷静になってもう一度考えてみましょう。その結果、やっぱり引き止めのための言葉だな、辞めるといわなければ、使い捨てのような扱いだっただろうなと思ったら、意思を貫いて辞職するべきでしょう。
「今後は待遇をアップしようと思っている」という決まり文句もあります。しかし自分よりも仕事が出来て職歴も長い介護士がどのていどの待遇で扱われているか、周囲を冷静に見てみる事が大切です。そもそもその言葉を発している上司の待遇は良いのでしょうか。どう考えても自分だけ、今よりも待遇が上がるとは考えられない職場もあると思います。このケースではこの言葉をうのみにする事はできません。特に給与など待遇に不満があって辞めようと思っている人は、きっぱりと辞職した方がいいでしょう。
離職率が多い職場ではなりふり構わず引き止めの言葉をかけてきます。「お前を育てるためにいくら予算を費やしたと思っているんだ」とか「お前がこの前割った食器を弁償してから辞めろ」とか「お前にどれだけ目をかけてやったと思っているんだ、裏切るつもりか」など、引き止めている本人ですら言いたくないような言葉を立場上言わざるを得ない状況で話しています。その事を理解して、とにかく頭を下げましょう。そして絶対に辞めますという固い意志を見せ続ければ、きっと辞職する意思を認めてくれるでしょう。引き止める役目になった人も、本当は辞めても仕方ないと思っているはずですから。